システム開発者の労働時間の実態

システムやソフトウェア、プログラムを構築するのは人の仕事です。2000年代になり、にわかに活況を呈したIT業界は、生産性との戦いです。限られた人員、納期で決まったものを完成させなければいけないという仕事ですので、個人の能率よりも全体としての進行が重視され、開発者の労働時間がとても長いという状況の開発会社は現在でも多く存在しています。いわゆるブラック企業やデスマーチといわれる過度に過密な制作スケジュールは、IT企業に端を発した言葉であるともいえます。

ただ、人が作業する以上、ずっと同じペースで作業が続けられるということはなく、疲れや眠気によって能率が落ちることも多々あります。システムエンジニアやプログラマーの労働環境改善は、ブラック企業の社会問題化とともに進んでいて、なるべく常識的な時間内で効率的に仕事が遂行できるように取り計らう企業が増えてきました。システム開発に関わる人員の労働時間に関わる問題は、源流を辿っていけば上流のクライアントとの商談まで遡ることができます。

本質まで遡ると無理な納期で受注せざるを得ない状況という点に集約することができます。予算を投下して必要なものを用意したいというクライアントのビジネス状況と、案件を受注したいと考える開発ベンダーの営業マンとの会話のなかで、その案件に関わる人員の労働環境が左右されることにもなります。何かを発注する際に比較するのは企業活動として当然です。同じものを構築しようとした際に、費用が安く納期も短いベンダーがいたとすると、そちらに発注したくなるのは当然です。

例えばその開発ベンダーが関わるスタッフに対して明らかに無理を強いる工程を想定していたとすると、健全なワークフローで開発を進めたいと考えているベンダーはそれに対抗するしかありません。つまり、上流部分でのモラルの問題になります。システム開発やソフトウェア開発には人員と時間がかかります。それを大前提とした健全な基準を発注側も持つ必要があるということです。

システム内部のことや開発に関して発注元が疎いという状況であれば、提案する側の各ベンダーがモラルを持つしかありません。実作業を外部委託するので自社は無理を被らないということではなく、後工程、開発現場のことを見据えた提案が求められる社会になりつつあります。それがシステム開発者の労働時間に直結します。今後もこの流れは加速する傾向があり、より適正な就業体制を持つベンダーに依頼することが発注元の責任として問われるのも時間の問題になっています。